(´・ω・`)ノシ

やはりクリスマスネタです。
ちょうどこのとき某有名サイトさんの漫画が原因で殺伐としていたスレをなんとかしてみようと
慌てて投下したような気がします。なんて無謀な……。

でも、よっぽどヒマだったんだな、自分。何か惨めになってきた。 orz


 社会人なんてのは辛いものだ、なんてことを、ガキの頃は他人事のように思っていた俺なのだが、気が付いてみれば、俺自身がその悲劇の真っ只中にいるなんて思いもよらなかったね。
 というわけで、単身赴任の身の俺は、この連休を実家に戻って家族と過ごせるな、などと浮かれていたのだ。
 丁度クリスマス・イブまで休日だし、せっかくだから有給使って、帰るのは次の日になってもいいかもな、とか考えていた俺に、無情な知らせが舞い込んだ。
 間の悪いことに、妻と子供達がインフルエンザに罹って全員寝込んでいるらしいのだ。
 メリー・クリスマスな気分はどこかに吹き飛んでしまった。とにかく、早く帰ってみんなを看病しなければ。
 俺は妻の携帯に電話した。
『……ゲホゲホ。ん、キョン?』
 おいおい、酷い声じゃないか、ハルヒ。大丈夫なのか?
『……かなり、大丈夫じゃない、わね。――ゴホン! ……それで、なに?』
 何もくそもないだろ。今からすぐ帰るからな。看病してやるから、
『バカ! 帰ってくんな! ……ゴホっ、なに言ってんの、あんた?』
 おいおい、今にもぶっ倒れそうなくせに、何強がってやがる。
『あたし、具合が悪いときはイライラして、そばにいると八つ当たりしちゃうわよ。それに、キョンにまでインフルエンザがうつったら困るでしょ? 会社にも迷惑かかるんだし。だから、来ちゃダメ』
 そのまま通話を切られてしまった。
 ハルヒの奴、何でまた変なところに気を回してやがるんだ。会社のこととか心配すること無いだろうが。
 イライラとか八つ当たりなんて、昔のことを考えたら俺は全然平気なんだがね。あと、あいつはともかく、娘二人のことが気掛かりなんだけどな。

 それに。

 最近ずっと会ってなかったからな。俺はどうしてもハルヒに伝えたい言葉があったんだ。
『愛してる。たとえ二人のいる距離は遠くても、心では、ずっとそばにいるから』
 ってな。

 と、そのとき、俺の携帯が着信した。
 やれやれ、素直じゃないな、と思っていると、
『もしもし、……パパ?』
 ハルヒじゃなくて娘からだった。
『ああ、希(のぞみ)か。どうだ、具合は?』
『わたしはまだへいき。……でも、ミクはつらそう。まって、……いま、かわる』
 後ろで泣いている様子だったミクが電話に出る。
「ふえ、パパぁ。あのね、ママがね、ぐすっ、よるにうんうんいって、ひっく、くるしそうなの。あせも、すごくって、わたしも、まだすごくねつがあって、――ふえぇぇぇん」
 ミクはまた大泣きし始めたらしい。と、そのとき、ハルヒが起きてきたらしく、
『ほら、二人ともまだ具合悪いんだから寝てなさい……。あ、キョン。ごめんね。この娘達も、あんたがいなくて寂しいのと、調子が悪くて不安になったのね。後はあたしに任せて――ゲホゲホ』
 おいこら、ハルヒ。任せてっても、お前うなされるぐらい熱あるんだろ? ミクが言ってたぞ。俺、やっぱり帰ったほうがいいんじゃないのか?
『余計なこと考えなくっていいの。このキツイ状態で希とミクの世話をしながらだから、うなされもするわ。でも、ここであんたが来て、寝込まれでもしたらあたしが倒れちゃうわ』
 と、電話越しに怒鳴るハルヒ。
『心配なのは解ったから、キョン――お願い――そこにいてちょうだい』
 そっか、でも、本当に辛くないか、お前?
『……ごめん。あんたが心配してくれてるだけで、あたしは嬉しいから。あたしはあんたのこと、愛してるんだもん。だから平気よ』
 おっと、先に――愛してる――をいわれちまったな。
『ああ、俺も愛してるぞ。早く元気になれよな』
『ありがとう、キョン。その言葉だけで十分よ。……じゃ、何だか目も回ってきたし、もう電話切るね』
『そっか。またな』

 しかし、ハルヒの奴に散々釘を刺されたにも関わらず、今、新幹線に乗っている俺はやっぱりバカなんだろうか。誰か教えてくれないかね。

 というわけで、俺は今、実家にたどり着いたところである。思ったよりも早く来れたので一安心だ。
 娘達に、と用意していたクリスマスプレゼントと、柄にも無いこの花束は、ハルヒのためのものだ。はい、そこ、笑うんじゃありません。
 クリスマスケーキだの、食い物の類は用意できなかったけど、どうせ食欲とかも無いだろうし、この際は仕方ないか。
 急に帰ってきて、驚くかなと思った俺は、静かに家に足を踏み入れた。部屋の明かりは全然ついてもいない。真っ暗な屋内の、奥の方から『うーん、うーん』と辛そうな声が聞こえてくる。
 キッチンには、カップ麺の空容器が転がっていた。食事の準備もマトモに出来なかったんだろうな。
 ハルヒは娘二人と六畳間で寝ていた。三人とも寝入ってるのか、俺のことには気付く様子も無い。
 午後七時頃といえば、他の家庭では団欒タイム真っ只中だろう。ましてや今日はクリスマスだ。
 なのに、我が家ときたら、既に布団も敷いて、真っ暗な部屋でお休み状態だ。なんだか、自分が情けなくなってきた。が、今はそれどころじゃないんだったな。
 ハルヒも、娘二人も、汗をすごくかいている。唇も乾いてかさかさだ。脱水症状とかそういうのも心配じゃないか。
 もう、バレても構わん。俺はキッチンに戻ると粉末のポカリを水に溶かして、三人のために用意した。そういえば、ポカリは、医者が面倒臭がって点滴を直接飲んだのが元祖って聞いたことがある。
 冷たい方が口当たりもよさそうだが、弱った胃腸に刺激が強いのはまずいと思って、あえて氷とかは入れなかった。

 熱く絞ったのと、乾いたのと二種類のタオルで、まず娘達の汗を拭き取り、用意したポカリを飲ませる。深く眠っているのに、目を覚ますでもなく、ごくごくと一気に飲み干した。ちょっとは楽になったろうか?

 さて、お次はハルヒだ。ぐっしょりと汗をかいている。
 そっと布団をめくり、替えの下着やパジャマを用意すると、仕方なく、あくまでも仕方なくだからな、これ重要。ハルヒを丸裸にすると、しっかりと汗を拭いて、着替えさせてやった。
 その間、不可抗力で、あんなところや、こんなところまで、手が触れてしまったりとか、まあその、俺も単身赴任で溜まってたしな。
 って、病人相手になんつーことするんだろうな、俺。ハルヒが目を覚まさなかったのが救いだったけど。

 ふと見ると、床にハルヒの携帯が転がっていたので、つい手に取ってしまった。
 おい、まずいぞ、とか考えつつも、中を覗き見てしまう。ええ、俺は最低な男ですとも。
 メールフォルダに『キョン』というフォルダがあり、今まで俺が送ったメールが保護付きで保存されていた。
 未送信メールがあったので読んでみる。
『キョン、怒鳴ったりしてごめんね。でも、すごく嬉しかった。心細かったから今すぐにでも逢いたいけど、インフルエンザうつせない……。寂しいよ、キョン。でも、メールで』
 というところまで書いて、結局送信しなかったのか、こいつ。

 俺は携帯を充電台にそっと載せた。
 今すぐにでもハルヒを抱きしめてやりたかった。その気持ちを押しとどめ、花瓶に花束を活け、机の上に置く。
 後は、額のタオルの替えを用意しておいてから三人に添い寝しつつ、手を握ったりとかそんなことをしながら、いつの間にか俺は眠ってしまったらしい。

「キョン。ねえ、キョンってば」
 気が付くと、俺はハルヒに揺り動かされて目を開けた。一時間ぐらい経ってたのかも知れん。
「目が覚めたと思ったら、いつの間にか隣であんたが寝てるじゃない。ビックリしたわよ。パジャマも着替えてるし、部屋も軽く片付いてるし、飲み物も、それに花束まで……」
 ハルヒの目は、涙でぐしゃぐしゃだった。
「バカじゃないの。ほんとに来るなんて。そんなことされたって、別に嬉しくなんかないんだから――」
 だったら、どうしてお前は泣いてるんだ?
「お前も娘達も、俺にとっては大事な家族だ。うつったら諦めて会社休むから。ここのところ結構働き詰めでくたびれてたし、少しぐらいお前のそばにいさせてくれ」
「うん――、うん」
 あふれる涙で言葉にもならないハルヒの様子だ。

 そこで、言わせてもらったとも。

「辛いときだからこそ、そばにいるのが夫婦じゃないか。愛している。大切な人なんだ」

 ちょっとキザ過ぎたかな、とか思ってハルヒを見ると、こいつ目を見開いて固まってやがる。あの、ひょっとしてドン引きって奴ですか?
 と、思ったら、
「うわぁぁぁぁぁぁぁーーん」
 と大声で泣き始めた。
 ビックリするなあもう。おっと、娘達も目を覚ましてしまったな。
 二人とも、パパが突然いたのが嬉しいのやら、普段怒ってばかりのママが声を上げて泣いてるのやらを見て、すっかり戸惑っている様子だ。
 ハルヒは、
「パパがね、帰ってきてね、花束でね、愛してるってね、だからね――うわぁぁぁん」
 と、全く要領を得ずだ。
 ホラ、大丈夫だから。希もミクも、まだ寝てなさいって。
 しがみついてくる娘二人に新しいポカリを飲ませて寝かしつける。
 ハルヒも泣き疲れたのと、張り詰めていたものが切れてしまったのか、また寝息を立てていた。って、ちゃんと布団かぶらないと体が冷えるだろうに。

 と言うわけで、久しぶりの聖夜も、家族水入らずの団欒も、状況はどうあれ、俺の心に充実感をもたらしていた。
 きっと明日明後日にはお前もインフルエンザなんだろうって?
 そんなことは知ったことか。そうなったらその頃は回復してるはずのハルヒに看病してもらうまでのことさ。
 しかし、この際だから思い切り甘えてやろうとか思ってる俺って、実は精神的にガキなのかも知れんなあ。やれやれ。


ちなみにこれは余所様の改変ネタだったりします。詳細は

妻に「愛してる」と言ってみるスレ「インフルエンザの嫁編」

でググってみてくださいw
そういえば投下する前にちゃんと改変だって宣言してたのにスレで怒られちゃった記憶が。 orz

しかし、夫婦ネタといえばハルキョンの生まれ変わりとも言うべき双子の姉弟が定番ですが
あえてそこを外してみたところが自分らしいかな、とか勝手に思ってますw

でもって、結論としては、こいつらうらやましすぐる!
というとこです。
なんか夫婦喧嘩とかしてても
「ハイハイ、仲がいいから喧嘩も多いよね」
で片付いちゃうのがハルキョンクオリティ。トムとジェリーかっつーのw



2 Comments to “インフルエンザ”


  1. 匿名 — 2010/02/18 @ 05:26:41

    ま、まさか、こんなところで改変されているとはw

    この元の話を書いた者です。
    萌えコピで自分の書いたものが2回も乗っていたのに最近気づき、もしかし
    てと検索してみて、ここにたどり着きました。
    こんな拙い文章をほめてくれてありがとうございます。
    なんか、つい嬉しくなってしまい、コメントしました^^

  2. Gimma_Akito — 2010/02/18 @ 23:12:13

    >匿名さま

    コメントありがとうございます。
    っていうかどーもすみません。
    これはもう元ネタありきというか全てがそっちに凝縮されているんで
    改変版を書くのはそんなに時間を使わなかった記憶があります。
    検索でわざわざご訪問いただき恐縮です。

    #ついでにここは「もげろ!」と言っておくべきでしょうか? (*´ー`)



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