ありがちな『饅頭怖い』ネタですが
何か電波が妙な方向に行っちまった。サーセンwww
てなわけで短いのを二連でどうぞ。 ノシ
コワいモノ
女の園、なんて言うと聞こえはいいんだけど、なんてことはない、今日はキョンも古泉くんもまだ来てない、放課後の文芸部室にして我がSOS団の拠点。
有希は相変わらずの読書、なにかしら、古ぼけた和綴じの本を熱心に読んでいた。
メイド姿のみくるちゃんは、また新しいお茶の葉を入手したとかで、温度計を片手に鼻歌交じりでコンロにかけたヤカンに付きっ切り状態。
そしてあたしは――とりあえずパソコンを起動してみたものの、ネットを徘徊するような気にもなれず、片肘を付いてポケーっとしていた。
実際のところ、今日の授業時間はほとんど居眠りしていたのよね。よく教師に見つからなかったもんだわ。いや……ひょっとしたら単に面倒くさがられてシカトされていただけなのかも知れない。
といっても別に『春眠暁を覚えず』とか、誰かさんみたいに言い訳するつもりなんてない。単にあたしは睡眠不足だっただけなんだから。
理由は――昨晩見た悪夢のせい――って、ちょっと、そこ! 違うわよ! 別に夢の中にキョンなんて出てこなかったんだから!
それどころかその夢は、この世界にはあたし独りぼっちというものだったの。
なんでだろう、中学の頃とかだったら、孤独なんてのは平気だったのに、何故か今では無性に怖い。
何だかあたし、以前より確実に臆病になってる気がするわ。
あたしは何気なく有希の方を眺める。
いつも冷静な有希。あたしが抱きついてちょっとばかりイタズラしても全然平気な顔してる。そういえばあたしは、この娘が慌てたり怯えたりしているのを見たことがないわ。
初めて会ったときも、たった一人きりでこの部屋で本を読んでいたし、あたしと違って有希なら孤独になってもなにも思わないのかも知れない。
でも有希だって女の子なんだし、苦手なものや怖いものの一つぐらいありそうなものよね。
あたしは思い切って、有希に訊いてみた。
「ねえ、有希」
「……なに?」
「あなたって、今――怖いものってある?」
有希はあたしの方を見て一瞬首を傾げたかと思うと、ポツリと一言、
「……饅頭」
と答えた。
「へっ?」
思わずマヌケ声を出してしまうあたし。
「あ、あのっ、長門さんってお饅頭、お嫌いなんですか? 実は鶴屋さんから差入れにってお饅頭を沢山いただいてきてるんで、お茶請けにどうかな? って思ってたんですけど……」
何故か泣きそうな表情のみくるちゃん。
有希はさっきまで読んでいた本を掲げ、ゆっくりと説明し始めた。
「今のは落語の有名な噺の一つ。丁度この本に記載されていた原話の部分をたまたま読んでいただけ」
ああ、なんだ落語のネタのことね。それだったらいくらあたしでも知ってるわよ。
「へっ? ラクゴのネタ、ってどういうことですか?」
有希はハテナ顔のみくるちゃんにそのネタについて一から説明してあげていた。その詳細は――面倒くさいから『まんじゅうこわい』でググりなさい。
「……えーっと、つまり、その方は、お饅頭だけじゃなくって、濃いお茶も嫌いだったんですか?」
「ああもう、そうじゃなくって! ……そいつの『怖い』ってのは、実は『大好き』って意味なの」
「でも何でその人、なんでわざわざそんな風に言い換えたんですか?」
「だから、そう言ってたから、みんなが意地悪でお饅頭を沢山くれたってことじゃないのよ」
「ええっ、そうだったんですか。――な、なるほど」
「……はあ~、なんか説明してるこっちがわけわかんなくなってきちゃったわ」
「ふえっ、す、すみませ~ん」
「ちわーっす」
と、そこにキョンがマヌケ面で現れた。
「ああ、さっき古泉から伝言を頼まれたんだが、今日は体調が良くないとかでもう帰るそうだ。――ん? 旨そうな饅頭だな。貰い物か?」
能天気そうなキョンの様子に、あたしは少々カチンと来た。
「ちょっとキョン! あんた今日は掃除当番でもなかったでしょ。今まで何処で油売ってたの?」
つい大声で怒鳴りつけてしまうあたし。
「へいへい、俺が悪うございました。……やれやれ、ハルヒは怖い怖い、っと――アレ? あの、朝比奈さん、どうかしましたか? ニヤニヤして……俺の顔に何か付いてますか?」
「えへへっ、良かったですね、涼宮さん。キョンくんは涼宮さんのことが『怖い』んだそうですよ」
ちょ、ちょっと、みくるちゃん?
「わたしも今の『怖い』は、先程の例に該当すると判断」
やだもう、有希までなんてこと……。
「へっ? 一体何のことだ、長門? ってハルヒ、何でお前の顔、そんなに真っ赤なんだ?」
「うるさい、このバカキョン!」

あたしはキョンの口に、差入れのお饅頭をねじ込んだのだった。
本当にコワいモノ
その日ハルヒは授業時間のほとんどを寝て過ごしていた。
いつ教師に注意されるか、とハラハラしていた俺だったのだが、みんなちょっかいを出すと面倒なことになるというのを理解しているのだろうか、誰一人注意しようとはしなかった。
放課後、いつものパターンで部室に向かう俺の前を見覚えのある人影がフラフラと歩いていた。と、何もないところで躓いて転ぶ。
「おい、古泉? 大丈夫か?」
「おや、あなたでしたか。これはどうも、みっともないところをお見せしてしまいましたね」
見た感じ相当疲れてそうな様子の古泉だったが、それでもスマイルを維持し続けているのは流石だと褒めてやるべきか。
「申し訳ありません。実は昨晩久々に例のアレが発生しましてね」
――閉鎖空間か。
「ええ。しかもかなりの規模のモノでしたので、結局徹夜での対処です。これでも体力には自信のある方だったのですが、流石に体育でグラウンドを十週走らされるのは堪えました」
そう言って膝から崩れ落ちる。解った、もういい。今すぐお前は帰ってゆっくり休め。
「了解しました。それでは――涼宮さんのこと、くれぐれもよろしくお願いいたします」
俺は古泉を校門まで連れて行くと、タクシーを呼んでやった。
都合よく新川さんの運転するタクシーでも来るのかと思いきや、現れたのはこの界隈でよく見かけるタクシー業者のものだった。
まあ、よく考えたら、新川さんたち機関のメンバーも、今日はお疲れなのかも知れないな。
その後、部室で俺はいきなりハルヒに饅頭を口に押し込まれて窒息しかかったりしたものの、これといって特筆すべき出来事はなかった。
古泉の話からしてハルヒの機嫌を心配していた俺だったのだが、何故かあいつは俺が見た限りではそれなりに楽しそうにしている様子だったのだ。
やがて下校時刻になり、「先に帰ってて」と朝比奈さんに促されて、俺たちは一足先に校門を出ることになった。
気付けば長門はいつの間にか姿を消しており、残された俺とハルヒは二人肩を並べていつもの坂道を下っていたのだった。
久々に二人きりの帰り道ということもあって、俺は何か話をせねばと、つい余計なことを訊いてしまった。
「なあハルヒ、今日ずっと居眠りしてばっかりだったけど、寝不足なのか? 昨日は変な夢でも見てた、とか――」
「えっ?」
ハルヒの表情が一瞬にして曇るのを見て、俺は地雷を踏んでしまったことに気付いたのだった。
「いや……その――」
「……ねえキョン。あんたが今、一番怖いと思うのってどんなこと?」
「うーん、そうだな―――やっぱり俺はお前が」
「ちょっとキョン! ――あたしは真面目に訊いてるの」
「まだ途中だって。俺はハルヒが――SOS団のみんなが――俺の前からいなくなっちまうのが、怖いと思う」
「……ふーん、なんだか、あんたにしては妙に実感がこもってるじゃない」
まあ俺は実際SOS団を失いかけたことがあったからな。お前には教えられんが。
「でも――そうね、あたしも同じかも。……時々考えるのよ」
髪をさっと手ではらうハルヒのリボンがどこか寂しそうに揺れる。
「もしも古泉くんが転校してこなかったら、みくるちゃんが書道部を辞めてまでSOS団に入ってくれなかったら、有希が部室を貸してくれなかったら――」
そこでハルヒは一旦区切って、やがて静かに続けた。
「もしもキョンが、あたしに話しかけてこなかったら――SOS団はどうなってたんだろう、ってね」
「……ハルヒ」
「怖いのよ、あたし。……誰か一人でもいなくなるのなんて耐えられない。まして、たった一人っきりになっちゃうなんて」
ハルヒは突然俺にしがみ付いてきたかと思うと、ブルブルと震えていた。

以前の古泉の仮説通りなら、そんな状況を作り出せるのは他ならぬハルヒ自身だ。現に、いつぞやは閉鎖空間に俺と二人きり、なんてことをやらかしたぐらいだからな。
俺はハルヒの背中に両腕を回すと、ポン、と軽く叩いて、
「なあハルヒ。もしも助けが必要なら、いつでも呼んでくれ。お前が何処にいても、俺は――俺たちはすぐ駆けつけるから」
何の根拠もないのだが、俺は平然とそう伝えたのだった。こいつが心の底からそう望めば、きっと俺たちはハルヒのパワーによって閉鎖空間とか異次元とかお構いなしに引きずり込まれるだろう。
「あたしの夢の中にも来てくれる?」
ああ。
「ありがと――でも、一つだけお願い」
何だ?
「あたしの夢で……あんまりエッチなこと、しないでよね、エロキョン」
真っ赤な顔のハルヒ。って待ておい。俺には全くそんな記憶はないんだが。お前どんな夢見てんだよ? そこまで責任持てんぞ。
「……バカ」
普段は強気なハルヒだけど、根っこの部分は乙女チックwってのを考えると
実際はコワいモノが沢山ありそうなきはするんですけどね。
その方が展開的に面白いしw
で、それをフォローするキョン。あー、何かワンパターンだなこりゃ。反省。 orz
一枚目のラクガキ『シャイニングなんちゃら!』だか『爆熱ゴッドノウズ...!』だか知りませんがw
ウケて下さったみたいでホッとしました。
