元旦早々実家に帰省もせずに必死でSS書いてる俺オワタ\(^o^)/
というわけで、ちょっと長めのにトライしてみました。
っていうか書いてるとつい長くなっちゃうんだな、自分の場合はw
ではどうぞ。
新年早々にこれは如何なものか、といった言葉で恐縮なんだが、まさに今の俺たちの状況を形容するモノとして、『お先真っ暗』という程相応しい言葉はないであろう。
何を縁起でもないことを、と仰せの方もいらっしゃるであろうと思う。だが、これは心情的なものではなくて、物理的に現在発生している事態についての話なのである。
ワケが解らない? 俺だってそうだ。それも、別に俺がタチの悪い風邪にやられて今も熱が三十八度超だからとかは多分関係ないだろう。
年明けから日本全土の上空を、不気味な黒い雲が覆いつくしたままだなんてのはな。
昨年の暮れから、俺の両親は妹を連れて田舎に行ってしまった。大晦日の前日、つまり十二月三十日ぐらいから寒気がしたりしてヤバイなとか思っていた俺だったのだが、案の定、全身の関節の猛烈な痛みと共に、高熱でぶっ倒れてしまった。
そういえば、ハルヒの奴に初日の出を見たりとか、初詣に行くだとかの約束をさせられていたのだが、この体調では出かけるどころか起き上がることすらままならん。
メールで『スマン。今日は行けない』と断りをいれるのがやっとのことだった。こんな時に家族が皆留守だというのも不運ここに極まれり、ということか。普段の俺ってそんなに行いがよくないのか?
昼とも夜ともつかぬ、時間間隔を失ったままの俺の元に、宇宙人と超能力者が訪問してきたのは、一月も五日になってからのことだった。
「お身体の具合はどうでしょう――愚問でしたね。見るからに辛そうなのはさすがに僕にでも解ります」
古泉は俺を気遣うように微笑みかけてくる。だが全然嬉しくもなんともない。そういえば、朝比奈さんは来てくれなかったのか?
「何かご事情があるようでした。『早く元気になってください』との伝言を預かってます」
事情ね。いったい何なんだろうな。
「さて。長門さんは何かご存知の様子なんですが、僕には教えてくれません」
「…………」
で、お前たちがここに来たということは、またハルヒがらみの厄介ごとなんだろうな。
「……説明する」
長門の例によって小難しい語彙満載の仰々しい状況説明によって、俺が何とか理解したのは、日本上空の広範囲に亘って、異相空間が我々の世界、いわゆる三次元空間に干渉を起こしているのだそうだ。
「我々の存在するこの空間にはエネルギー保存則が存在するため、本来存在しない異相空間からの物質流入の相殺分としてこちら側の物質も還元的に流出されている。そのために不安定となった上空の大気中にあの分厚い雲が生じた」
「さらに問題なのは、あの雲の中に大規模な閉鎖空間が多数発生しているのです。原因はおそらく……涼宮さんが元旦にあなたと会うことができなかったためです」
って、俺のせいなのか!
「あなたは多分、涼宮さんに余計な心配を掛けまいとして、詳細な理由をメールしなかったのだと思います。ただ、結果的にそれは逆目に出てしまった」
古泉はいったんそこで区切って、はっきり述べた。
「涼宮さんはあなたと共に初日の出を見ることを楽しみにしておいででした。それが叶わなかったため、『もう二度と陽の光なんか見たくない』と思い込んでいるのです」
「さて、僕もそろそろ仲間たちの応援に行かなければなりません。後のことはあなた方にお願いします。それでは――失礼させていただきます」
そう言い残して退出しようとした古泉は、ドアの手前で振り返り、今できる限りであろう精一杯の笑みを浮かべて、
「そういえば、まだ新年のご挨拶をすませてませんでしたね。このような状況でどうかとも思いますが、――あけましておめでとうございます。今年が僕たちにとってもよい年となることを……切に願うばかりです」
と一礼して、俺の部屋から出て行った。
残されたのは俺と長門の二人。
「なあ、それで一体どうすればいいんだ」
長門はほんの僅かだが言いにくそうな様子を見せた。やがて意を決したようにゆっくりと口を開く。
「現時点では根本的な解決は不可能。既に手遅れ」
はあ、ちょっと待ってくれ。もうどうしようもないってのか?
「異相空間との物質交換の総量が臨界点を突破した。……でも、大丈夫。まだ打つ手はある。そのために……彼女にも協力してもらう」
長門がそう呟いた瞬間、ドアがノックされた。
しばらくの間があって、室内に入ってきたのは――
「キョンくん、お久しぶりです。ふふっ、お顔が真っ赤ですよ。まだ熱があるみたいですね」
朝比奈さん(大)だった。
申し訳なさそうな感じで朝比奈さん(大)は俺の前に座ると。
「ごめんなさいね。過去のわたしには、待機命令が出ています。だからここには来られないの。もっとも――ここで『わたし』に鉢合わせてしまうのも困るでしょう?」
つまりその待機命令を出したのは……なるほどね。
事情は解りました。で、俺はいったい何をすればいいんですか?
「まず、キョンくんには、風邪を完全に治してもらいます。大丈夫、あと一晩もあればすっかり治っちゃうから。あっいけない。これって禁則事項でした」
といって、可愛らしく舌を出して苦笑いする朝比奈さん(大)は、後ろ手に下げていた買い物袋からプリンを取り出して俺に手渡した。
「はい。なにも口にしないのは胃にもよくありませんから。――あっ、それともわたしが食べさせてあげた方がよかったですか?」
「……自重」
「あ、ご、ごめんなさい、長門さん。えーと、わたし、なにか暖かいものでも作りますね」
といって慌てて出て行ってしまう朝比奈さん(大)であった。
プリンを手にして固まっている俺を、長門の限りなく透明に近いクリア・ブラックの瞳が見据えている。
「そうだ、長門。お前の情報操作とかで、俺の風邪を今すぐ治療するってのは出来ないのか?」
「できなくはない。ただし……推奨はできない」
いつぞやもこんな感じのやり取りをしたような気がするな。
「副作用として、風邪の症状よりも重い発熱や痛みを伴う危険がある。それらの症状からの回復には現状からの自然治癒にかかる以上の時間を要する」
ま、長門がそういうのなら従うに越したことはなさそうだ。
プリンを食いながらおれは、このプリン、そういえばハルヒの奴の好物だったな、とか暢気なことを考えていたのだった。
その後俺は、朝比奈さん(大)お手製のお粥をありがたく頂戴した。
普段より食べ終えるまでに時間が掛かったのは、朝比奈さん(大)と長門の二人が交互に俺に一口ずつ掬って食べさせてくれたとか、そんなことは多分俺が高熱のために見た幻覚か何かだったのだろう、まあ気にすんな。
実際、変に緊迫した空気で、味なんか全然解らなかったし、ちょっと勿体無かったかもな。
いつの間に眠ってしまったんだろうか。俺が目を覚ますと、もう六日の朝になっていた。もっとも、外は真っ暗なので、時計を見ても今本当にこの時刻であっているのか、信じられないのも当然か。
しかし、朝比奈さん(大)も長門も、どうやら寝ずに付きっ切りで俺の看病をしてくれたらしい。何だか、非常に申し訳ない。
「あなたが気にすることはない。これはわたしたちの意思」
「うふふ、それに、いいものを見せてもらいましたから、全然平気ですよ」
朝比奈さんゴージャスバージョンはニッコリ微笑んで俺に告げた。
「キョンくん、すごく幸せそうな顔で、何度も寝言で涼宮さんのこと、呼んでましたよ」
え、俺、そんなことを言ってましたか?
「…………」
無言で俺を見る長門も、否定してくれる様子はない。くそう、なんて羞恥プレイなんだこれは!
「でも、もうすっかりキョンくんも治ったみたいですね。そろそろ出発の準備をしましょうか。あ、それとも、一汗流してからの方がいいのかしら? お風呂も用意できてますから」
出発? 俺、一体どこに行くんですか?
俺の疑問に、長門が『どこ』ではなく『いつ』かを答えてくれた。
「一月一日の日の出時刻前。その時点に戻り、時空改変を行う」
風呂に入ってここ数日分の汗をきれいサッパリ落とす。本当はもうちょっとゆったりしたかったんだが、それどころじゃない。まあ、湯冷めしないように適度に身体を温める。
外出の準備をする俺を、部屋の外で待つ二人。その間に朝比奈さん(大)と長門が実行すべき行動の概要を語ってくれた。
「一つ問題があるとすれば、ちゃんと天気がよくなって、初日の出が見られるかどうかなんですけど――」
「わたしたちの知っている該当時間の天候は既に涼宮ハルヒの力の影響を受けていると思われる。……大丈夫。あなたがいればきっとうまくいく」
何だかよく解らんけど、仕方がない。俺は俺に出来ることをやるまでのことだ。
準備を整えた俺たちは、玄関前で例によって身を寄せ合っていた。
「――忘れてました。キョンくん、お家の鍵は、持って行かないで置いていってくださいね」
朝比奈さん(大)に言われるまま、俺はポケットから鍵を取り出して下駄箱の上に置く。これにどういった意味があるのかはよく解らんが、きっと重要なことなのだろう。
「それでは、出発しますね。長門さん、お願いします」
「了解した。目標時空間座標は……」
例によって長門が正確な目標時刻を伝える。
「じゃあ、いきますよ。キョンくん、目を閉じててくださいね」
おう、いつでもドンと来なさい、とか余裕をかます俺だったが、やはりというか、何度体験しても慣れることはないであろう、あの超絶感覚が俺を襲った。
しかしなるほど、俺の体調が完治するまで待ってた理由もよく解る。とてもじゃないが昨日までの調子なら俺は即座にダウンしていただろう。ていうか、今も相当きついぞ、これ――。
自分の体が何回転ぐらいしたかをもう数え切れなくなった頃に、俺の足の裏が重力を知覚した。
「はい……到着しました」
朝比奈さん(大)の声で目を開く。なんというか、そこは俺の家の玄関から出たばかりのところだった。
「移動距離はほとんどなかったんですけど、時間平面の安定性が悪くて。気分悪くなかったですか?」
いえ、俺は平気ですとも。それで、これからのことなんですけど、
「じゃあ、キョンくん。あとはあなた一人に全てお任せします。頑張ってくださいね」
長門にも出来れば付いて来て欲しかったんだが、
「目標地点には既にわたしの異時間同位体が存在する。それにわたしの役割は時空震の影響からこの時間本来の『あなた』を守ること」
とのことだ。それが終わったら七日の朝の時点に朝比奈さん(大)と戻るらしい。それじゃ仕方ないな。って、長門、今のお前って未来から戻ってきてたのか?
「それは」
「禁則事項です」
やれやれ、この女神御二人には敵いませんよ、本当に。
まだ暗い元日の未明、一つ深い深呼吸をして、俺はハルヒの待っている北高に向けて自転車を走らせた。
相当急いだつもりだったのだが、病み上がりではやはり体力的にきつかった。俺が北高の校門前に到着したのは、タイムリミットギリギリ、俺が出した欠席メールをハルヒが受信した直後だった。
「え、あれ、キョン? あんた、来ないって今メールが……」
「いや、何か気が変わってな。やっぱり一年の計は元旦にありというしな」
「バカ、変なことするんじゃないわよ、もう。――心配したじゃないの」
ハルヒの呟きが俺の胸に刺さる。そうだよな。あんなに日本上空をグチャグチャにするぐらい、お前には堪えたんだろうな。俺が悪かったよ。本当にスマン。
「で、他のみんなは」
「先にもう行っててもらったから。ほらキョン、もう時間ないわよ。早く早く!」
急かすハルヒだったが、俺は一呼吸置いてから、
「なあ、ハルヒ」
「ん、もう。なによキョン?」
「あけましておめでとう、ハルヒ。今年もよろしくな」
「あ、あ、あたしも。――あけまして……おめでとう。――って、そんなのあとよ。早く来なさいよ」
ハルヒに導かれるまま、俺は他の三人が待つ屋上へと足を進める。しかし、東中のあの件といい、こいつは不法侵入の常習犯じゃないか。まあ俺が言える立場じゃないんだが。
「みんな、キョンの奴やっと来たわよ」
ハルヒの声に三人がこちらを振り返る。
「あ、キョンくん。あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとう……今年があなたにとって、よい年でありますように」
「天候は微妙ですが、どうやらギリギリ間に合ったようですね。あ、僕からも新年のご挨拶を。ア・ハッピー・ニュー・イヤー。今年もどうかよろしくお願いいたします」
三者三様の新年の挨拶。そうだ、今年の俺はこんな基本的なこともせずに、一年を始めようとしていたなんて、なんてバカ野郎なんだろうな。
「あけましておめでとう。朝比奈さん、長門、そして古泉。みんなよろしくな」
その瞬間、一陣の風が吹き去ったかと思うと、見る見るうちに上空の雲が霧散していく。
それと同時に、昇ったばかりの太陽の光が東の空を割って俺たちの元に届けられる。
「わあ、――とても、きれいです」
「しかし驚きですね。ここまでのタイミングで快晴になるなんて」
「だから、心配ないってあたしがいったでしょ。でも、こんなにバッチリ初日の出を拝めるなんて、今年はなんだか幸先いいじゃない。ねえ、有希。あんたもそう思わない」
「……同意」
俺は何も言わず、全てがうまくいったことを確信して安心していた。朝日の光はやけに神々しく、ハルヒの瞳越しでもキラキラと輝いて、俺は目が眩みそうだった。
しばらくして、こっそりと北高を抜け出した俺たちは、ぞろぞろと五人で近くの神社まで初詣に向かった。俺たちが着く頃には結構な人だかりが出来ていた。早朝にしてはかなりの人出だったんじゃないかと思う。
おみくじを引いたところ、ハルヒの奴は当然のように大吉。他の三人は揃ったように中吉で、俺だけ何故か凶。おい、新年は縁起を担いで凶は出なくしてるんじゃなかったのか?
「へへん、やっぱりね。キョンは日ごろの行いが悪いからよ」
勝ち誇ったように言い放つハルヒだったが、急に俺の手をとると、
「もう、仕方ないわね。あたしがお守り選んであげるから、そんな不景気な顔しないの」
不景気な顔で悪かったな。俺はこの顔と一生付き合わなければならんのだ。そう簡単に変われるものか。
「無理にでも変えてもらわないと、あたしが困るの。ほら、これにするわよ。文句は言いっこなしだからね」
と、同じものを何故か二個買うハルヒ、って一個はお前のか。ちゃっかりしてやがるんだか。
「ふえぇ、今年の涼宮さん、なんだかとっても積極的なんです。いいなあ」
「ほほう、これはこれは。新春早々、縁起のよいことですね」
「……ちなみに二人が購入したのは厄除けではなく縁結び」
初詣のあとは、ファミレスで俺が全員分を奢らされたりとか、
「正月だから、不思議も油断してるかもね」
と、ハルヒによって市内探索の特別編が執り行われたりとか、そんなこんなで気が付けば、もう日没の時刻だった。
と、ここで問題が一つ。
俺は自宅に戻っても鍵を持っていないので家に入れない。
そもそも現在自宅の俺の部屋のベッドでは、俺の異時間同位体とやらが寝込んでいるわけであり、その俺は今の俺に会ったりとかしていないので、無理に家に侵入するわけにもいかない。
朝比奈さん(大)と七日の長門はもう元の時間に戻ってしまっただろうし。一体どうしたらいいものやら。
「ねえ、キョン、どうしたの。あんた帰らなくていいの?」
「あ、いや、実は家の鍵を無くしちまったみたいでな。しかも、両親は妹を連れて田舎に行って七日まで帰って来ないし。どうしたらいいんだ」
「そんなのあたしが知るわけ――キョン、もしよかったら、その……うちに、来る?」
は?
「か、勘違いしないで。うちの母さんが張り切りすぎておせち料理作りすぎちゃったのよ。勿体無いから、せっかくだしあんたにも食べさせてあげる」
ハルヒは真っ赤な顔で俺の方も見ずに言った。話するときは人の顔ぐらい見て欲しいんだが。
「ありがとうな、ハルヒ。世話になるよ」
「――ふん。なにその言い方、感謝の気持ちが足りないんじゃない、あんた。ほら、さっさと帰るわよ」
ハルヒは俺の手を掴んで、慌てて自分の家に向かうのだった。
しかし、まさか本当に、一週間近くもハルヒのところに寝泊りすることになるとはさすがに俺も予測できなかった。何故かご両親に大いに気に入られてしまったし、今度はハルヒの奴を家に招待することまでいつの間にやら決定されてしまった。
ひょっとして、俺、ハメられたのか?
『ハルヒの起こしたトンデモ現象にキョンたちSOS団の面々が巻き込まれる』
というシチュエーションのSSを初めて投下したのがこれだったりします。
なんというか、自分はこういうのが書きたかったんだなって自覚させられた作品でもあります。
朝比奈さん(大)はともかく長門にまでハルキョンの仲を応援させるのはどうよ?
みたいな意見をスレで見かけたのですが、これ結構難しい問題な気がしますよ。
かといって観測に徹するだけの長門ってのも勿体無いと思いますし。
そうそう、長門の新年の挨拶はお『約束』ってことでw
あと、ハルヒ宅に一週間お泊りのキョン、てのがえらくウケがよかったですね。
でも自分の場合は肝心なところは敢えて書かないのです。
ゴメンねチキンでwwwwフヒヒwwサーセンwwwww
ところであちこちで見かけるとは思いますが
タイトルの『ハレの日』を
ハレノヒ⇒ハノレヒ⇒ハノレヒ⇒ハルヒ
ってネタはもう聞き飽きましたよねそうですよねw
