(´・ω・`)ノシ

911様の「半夏雨」を読んでえらく感銘を受けたんですよ。
ハルキョン二人の距離感が実に絶妙で、心から「こういうのいいなぁ」って思いました。

ただ、この二人の距離感を壊してしまうような事態が発生したらどうなるんだろう?
とも思ってしまったのでした。<余計なことをww

てなわけで勝手に設定いただいて~というか続きを書こうとしてたら自分の方が壊れちったw\(^o^)/
何これ? こんなもの受け取ってもらえるか非常に怪しいんですが
スレに投下する時期も完全に逸してますし、このブログ初のスレ未投下作品ってことで
憧れの911様に捧げます。
ブログ上では公開日時が七月二日になってますが、実は書き終わったのは相当後って言う卑怯者な自分w


 前日降っていた雨も止み、この時期にしては滅多に無い程の快晴の日の放課後――。
 いつもと違って俺が部室に顔も出さずに屋上で寝転がって空をボーっと眺めていると、
「おや、珍しいこともあるものですね。こんなところで――しかもお一人とは」
 俺の頭上に見慣れたニヤケ顔が現れた。
 その表情は今日の天気並みに爽やかな笑顔のはずなんだろうが、それが却って今の俺には鬱陶しいことこの上ない。
「何を偶然装ってやがる。お前、俺がここにいること知ってただろ?」
「ふふふ、何もかもお見通しというわけですね。さすがです」
 バレてしまいましたか、といったように両手を広げた大げさなポーズ。
 何から何まで一々癪に障るが、抗議する余力すら、今の俺には無かった。
「……まさか、ハルヒに頼まれて捜しに来たのか?」
「いいえ……あくまでも僕個人の判断ですよ。あなたが部室にいらしてないことに涼宮さんがご不満に感じていらっしゃるのは間違いありませんけど」
 団長様のご機嫌を損ねないように副団長自らが雑用風情をお出迎えとはね。ご苦労様なこった。
「――何かお悩みのご様子ですが、如何なさいましたか? 僕でよろしければ何でも相談に乗りますよ」
 古泉は多分いつもの調子でそう言ったに過ぎないと思ったが、俺は敢えてそれに乗っかることにした。
「実は……昨日以来ハルヒの顔をマトモに見られなくなっちまってるんだ」
「ほほう、何か喧嘩のようなことでも?」
「いや、その――正直に話すから、笑ったりせずに聞いてもらえるか?」
「了解しました。――どうぞ、続きを」
 俺の頼みに、古泉を含めた辺りの空気が変わったような気がした。直に顔を見たわけじゃないんだが、その時きっとこいつの顔からはいつもの仏像のような笑みは消えていたのかもしれない。
「実は、昨日の帰り道のことだったんだが――」
 ………
 ……
 …

「なるほど、昨日の雨の中を一本の傘にお二人が肩を並べて仲睦まじく帰宅されている途中、バランスを失い転倒しそうになった涼宮さんを支えようとした弾みで彼女の胸部を両手で鷲掴みする格好になってしまい、平手打ちを頂戴してしまったというわけですね」
 すまん、誰かに説明するような口調で俺の話したことを要約して復唱するようなことは勘弁して欲しいんだが。
「うふふ――いえ、こちらこそ失礼しました。決して笑ったりしないという約束でしたのにね。重ねてお詫びを申し上げます」
 いや、なんつーかもうどうでもよくなってきちまったな。って言うか古泉、そもそもお前最初から何もかも知ってたんじゃないのか。
「いいえ、さすがに詳細は涼宮さんにお伺いするわけにもいきませんしね」
 どこまで真に受けてよいのか解らないことを告げつつも、古泉はさらにどこか咎め立てるような調子で続けてきた。
「でも一日避け続けていたというのは少々問題かと。僕が想像するに涼宮さんの今のご不満の原因はずっとあなたに昨日の一件を謝罪しようと試みていたものの、こうして今もあなたからその機会を封じられたままになっていることでしょうから」
 そりゃ悪かった。全部俺一人の責任だな。まあそんなことなんだろうとは薄々だが俺も思ってたさ。
「ところで、あなた自身は涼宮さんに平手打ちされたことについては別段腹を立てておられるわけではない、ということで間違いありませんね?」
 ああ、その通りだ。
 と、俺が返事したかと思うと、古泉はポケットから携帯電話を取り出して何か確認でもしているようだ。機関からの連絡でも入ったのだろうか。
「失礼――では改めて訊きますが――いつまで逃げ回っているおつもりですか?」
「いや、実際今すぐにでも、ちゃんとハルヒに面と向かって謝りたいのは俺だって同じさ。……でも、それができないんだ」
「何故なのでしょう? 僕が知りたいのはまさにその理由なんですが」

 理由――そう、まさにそれが問題なんだ。

 最初から何もかも打ち明けようと覚悟は決めてあったものの、俺が古泉に対して口を開くまでには、そこからしばらくの沈黙を必要とすることになるのだった。


「……うー」
 放課後になってすぐに文芸部室まで急いできたものの、あたしのやってることといえば相変わらずのネットサーフィン。
 しかも、不思議な事件を扱っているニュースサイトだとか、今日は何の日、だとか、どこを見ても全く内容が頭の中に入ってこずに素通りしてしまうような気がするわね。
 無理も無い。
 今のあたしはモーレツにイライラしてる。
 え? カルシウムが不足してるんじゃないかしらって?
 お生憎様、今朝は出掛けに牛乳一リットルのパック丸々空けてきたんだから。おかげでお腹の調子が……って、なに言わせんのよ、もう!

 イライラの原因なんて――決まってるじゃないの、あのバカのせいなんだから!

 そう――昨日の帰り道のことだったわ。
 ………
 ……
 …

 案の定降り始めた雨に、この時期に傘を忘れるなんて、あたしとしたことが大失態だわ。
 いつかみたいに職員用の傘を拝借しようと思い付いたんだけど、みんな考えることは同じなのか、一本も残ってないなんてどういうことよ?
 昇降口で途方に暮れてたら、あの鈍感キョンが、あいつにしては殊勝なことに「ほら、入れよ」なんて傘を差し出してきたのよね。
 珍しいこともあるもんだわ。雨でも降って――うん、今はまさに土砂降りね。バカみたい、あたし。
 でもって、仕方ないから一緒に帰ってあげたんだけど、なんだかあいつ、あたしの方ばっかりに傘を寄せてるもんだから自分の肩がびしょ濡れ。なに考えてるのよ、もう!
 さすがにそのままにするわけにもいかないじゃない? あくまでも仕方なく――あたしがキョンの腕に無理やり縋り付くようにして歩いてたんだけどそれが結果的によくなかったみたい。
 あたしの膝がキョンの脚を蹴っ飛ばすみたいな感じに引っ掛かって、あたしはうっかりバランスを崩してしまったの。
「!」
 きっと偶然だろうし、キョンには何の他意もなかったってことはあたしにも解ってる。
 ただ――転びそうになったあたしを支えようとしたキョンの両手が――ものの見事にあたしの両方のバストを鷲掴みにしていたのよ。
「イヤっ!」
 ほとんど反射的だったと思うけど、あたしはらしくもない悲鳴を上げると同時にキョンの頬を激しくビンタしてしまった。
 まさに顔から火が出るって感じかしら。
 あたしは呆然と立ち尽くしているキョンのことを放ったらかしにしたまま、結局大雨の中をずぶ濡れになりながら走って帰ってしまった、ってわけ。

 家に着いてからシャワーを浴びている間、あたしはずっと後悔しっ放しだった。
 いくらあのエロキョンだからって、どう考えてもさっきのはものの弾みじゃないの。なのに、あたしったら自分だけ変に意識過剰になっちゃって――あーあ、キョンのヤツ、やっぱり傷ついちゃったのかしら?

 部屋に戻ってベッドの上にひっくり返る。

 ……何だろう、まだちょっとドキドキしてる。いや――これはさっきまで雨の中を走ってたからであって――ううん、ちゃんと認めよう。

 今のあたしはキョンのことを一人の異性として意識しちゃってるんだ。

 キョンの指の感触がまだ生々しく残っているその箇所にあたしはいつの間にか自分自身の手を重ねてしまっていた。
 勢いとはいえ強引に抱きすくめられたあたしの身体――肩越しに吹きかけられたキョンの熱い息。
 つい、いつか見た夢のことを思い出してしまい、あたしは妙に恥ずかしくてたまらなかった。
 普段はあんな調子でダラダラしちゃってるけど、でもキョンはやっぱり男の子なんだなあって、改めてそう思い知らされる。

 ……キョン。

 どのくらい時間が経ったのかしら、ママが夕飯の時間になったと階下から声を掛けてきたところであたしは我に返った。
 うん、モヤモヤはもうこれでおしまい! スッキリサッパリ、気持ちの切替の早さが我ながら助かるわね。

 それに……明日はちゃんとキョンに謝ることにしよう。いきなり引っ叩いてゴメン、ってね。
 …
 ……
 ………

 なのに、キョンったら朝からずっとあたしのことをシカト状態。昼休みもどこかに逃げちゃったみたいだし。どういうことよ、これって?
 それとも、まさかあたし、キョンに拒絶されちゃってるのかな……もう二度と許してもらえないのかしら。
 あーもうわかんない! 一体どうすればいいの? 今すぐ誰か教えなさいよ!

「それにしても――今日は遅いみたいですねぇ。こんな時間になってもまだいらしてませんもの」
 ボーっとしてたあたしを気遣うようににみくるちゃんが声を掛けてきてくれた。
 でもあたしは、つい反射的に睨みを利かせてしまい、その結果みくるちゃんは申し訳なさそうに俯いてしまったじゃない。
 あーもう、失敗。
「みくるちゃん、ゴメンゴメン。別にあなたに対してなにか怒ってたりなんかしてるわけじゃないから安心して」
「でも、その――涼宮さん、実は怒ってらっしゃるんですよね。……やっぱり早く来てくれないからですか?」
「な、あ、あたしはなにもにキョンに早く来て欲しいなんて全然思ってなんか――」
「うふふ、図星でした? まだいらしてないのは古泉くんも一緒ですけど。それに、わたしはさっきから一言も『キョンくん』とは言ってませんよ」
 しまった! 語るに落ちるってのはこのことじゃないの。あーもう、あたしのバカバカ!
「……気になる?」
 ってちょっと有希? さっきまで分厚い洋書とにらめっこしてたはずなのに、いつの間にかあたしの脇に立ってるなんて、ビックリさせないでよね。
「べ、別にあたしはキョンのことなんてこれっぽっちも……その――ちょっとだけ……ゴメン、有希」
「いい。……ついてきて」
 有希はそのままドアの前まで進み、改めてこちらを振り返った。
「って有希、キョンがどこにいるのか知ってたわけ? どうしてあなたがそんなこと――」
「現在彼は古泉一樹と二人で屋上にいる」
 そう呟いて有希はケータイを掲げた。ああ、なんだ。きっと古泉くんからメールかなにかで連絡があったってことね。
 でも、だったらどうしてあたしにメールしてくれないのよ、古泉くん?
 そんなことを考えながらもあたしは有希に促されるまま、みくるちゃんも連れ立って三人でキョンたちがいるらしい本館の屋上に向かうことにしたのだった。

 屋上のドアの前で有希は立ち止まってしまう。なによ、そこにキョンと古泉くんがいるんでしょ?
「……タイミングが重要」
 タイミングって、なにこれ、まさか最初からみんなであたしにドッキリでも仕掛けようって魂胆だったわけ?
「そうではない。でもこれはあなたと彼にとってとても重要な問題」
 さりげなく怖いことを言ってのける有希。
 思わずあたしも唾を飲み込んでしまったわ。
「……覚悟はいい?」
「え?」
「今のあなたに彼の本心を聞く勇気はある?」
 ――いや、考えるまでもないことよ。あたしはSOS団の団長涼宮ハルヒなの。
 逃げも隠れもしない、そんなの当たり前に決まってるじゃない。
 そもそも、今日一日あたしから逃げ回ってたのはキョンの方なんだからね。
 何が何でもその本心とやらを洗いざらい聞かせてもらおうじゃないの!
「……解った」
 有希のその言葉と同時に、屋上のドアが音も無くゆっくりと開いていく。

 そこであたしが耳にしたのは――、


「なあ古泉、いつかお前ハルヒのことを『魅力的』って言ってたことがあったよな」
「ええ。ちなみに今現在でもそう思っているのは変わりありませんけど。ご自身ではいかがです? あなたも少しは涼宮さんのことを魅力的には感じたりしたことはないのでしょうか?」
 軽い気持ちで問い掛けたんだろうが、俺はそれに真面目に答えた。
「ああ。あいつはとんでもなく魅力的で……おまけにどうしようもなく可愛過ぎる。俺は――ハルヒのことが好きだ――ってのに今更気付いちまった」
「おや? あなたにしては随分と素直な感想ですね。その口調だと皮肉を言っているわけではない様子ですし」
 普段の俺はどんだけ皮肉屋なんだろうね。我ながら苦笑してしまうじゃないか。
「なるほど、茶化したりするのは失礼でした。――相当思い詰めておられるのですね」
 考えたところでどうにもなりそうに無いのが困ったところでな。
「いつ自覚されたのですか? あなたが涼宮さんに好意を抱いたのは果たしてどの時点のことだったのでしょう?」
 自覚ってんなら昨日の一件なんだろうが、冷静に思い返してみると……入学式の日、ようするに初対面の時のインパクトが全てなのかもしれん。まさか一目惚れだったなんて性質の悪い冗談みたいじゃないか。
「では、そのことを正直に涼宮さんに打ち明けてみては如何ですか?」
「だから言ったろ。あいつのことをマトモに見られないんだって。今の俺にとっては――ハルヒは眩し過ぎて目がどうにかなっちまう気がする……ん? どうかしたか?」
「申し訳ありません。先ほどから驚きの連続で少々思考が停止してしまいました。まさかあなたからそのような言葉を聞くことになるとは想定外でしたので」
 それを誰よりも俺自身が一番実感してると思うね。
「それで、今後あなたはどのようにされるおつもりですか?」
「それなんだが――俺としてはこのまま黙ってた方がいいんじゃないかって思えるんだ」
「何故そう思われるのでしょうか? 僕の個人的な見解ですが、涼宮さんご自身もあなたとステディな関係になりたいと望んでいる節もあると思うのですけど」
 ハルヒが? そこまで楽観主義者になることは俺には無理なんだが、まあ置いておいて、それ以前に多分ハルヒも俺と同じ問題を考えると思うぜ。
「それこそまさに相思相愛なのでは……失礼、一体何を懸念されているというのですか?」
 決まってるじゃないか。SOS団はどうするんだ?
「どうする、と仰いましても、今のままというわけにはいきませんか?」
 無理だろ、普通。
 そもそも、まず間違いなく俺はハルヒにフラれるだろうし、そうなったらとてもじゃないが俺は再起不能なぐらいダメージを受けるだろう。
 とてもじゃないが団の活動なんて一緒にできると思えない。
 あまつさえ同じクラス、しかも座席が前後してるなんて拷問どころのレベルじゃねーぞ!
 きっとハルヒだって気まずい思いをすることになるはずだ。そんなこと、考えただけで……、
「いや、ですからそれは――」
 とにかく、俺の個人的な感情のために朝比奈さんや長門、それに――古泉――お前たちに迷惑を掛けるなんてゴメンだぜ。
 俺だけが胸にしまっておけば済む話じゃないか。それでいいんだ、多分きっとな。
 所詮俺なんてハルヒには釣り合わない。
 あいつはいわばこの太陽みたいに輝いている存在なんだ。ずっと見てるだけでも失明しかねないし、この手で触れようにもあっという間に燃やし尽くされてしまうに違いないのさ。
「涼宮さんご自身のお気持ちはどうお考えなのですか?」
 だから言ったろ。ハルヒが俺のことを好きだなんて、そんな夢みたいなことはありえん!
「では、せっかくですので直接涼宮さんご本人に伺ってみましょうか? ――どうぞこちらへ」
 古泉のセリフにあわてて身を起こした俺が目にしたのは、朝比奈さんと長門に支えられて立ち尽くしている真っ赤な顔をしたハルヒ本人だったのだ。


「ハルヒ――」
 さっきから信じられないことを古泉くん相手に延々話していたキョンが呆然と立っている。
 そんな、嘘でしょ? それともやっぱりドッキリかなにかに引っ掛かってるんじゃないの、あたし。
 わけも解らないまま、あたしは一歩一歩キョンに近づいていく。
 案の定キョンはあたしからすぐに目を逸らしてしまい、その反応がさっきのキョンのセリフを裏付けるものであることに気付いてしまう。
 あたしはキョンのネクタイを引っ掴むと、思い切り手前にグイっと手繰り寄せた。
 キョンは油断してたのかバランスを崩してしまい、顎があたしの額に激突しちゃう。
 目から火花が出そう。でも今はそんなこと言ってられないわよ。
「こらっ、バカキョン!」
 呆気に取られた様子のキョン相手にあたしは一気に捲くし立てる。
「黙って聞いてたら、あんた、なに一人で勝手なこと言ってんのよ!」
「悪い、ハルヒ。……そうだよな、やっぱりお前だって迷惑――」
「そういう大事なことは面と向かって言いなさいよ、って言ったじゃない!」


 おい、嘘だろ?
 今、ハルヒは何て言ったんだ?
 てか、そもそも何でハルヒがこの場にいるんだ? いや、ハルヒだけじゃなくて朝比奈さんも長門もいる。よかったな、ハルヒ。SOS団はいつでも全員集合だったよな。ははは。
 とにかく、もうおしまいだ。
 隠し通すつもりだったことをまさか本人の前でベラベラ喋っちまったなんて、マヌケにも程があるだろ?
 案の定、ハルヒのヤツ真っ赤になって怒ってやがる。やっぱり、そりゃそうだよな。
 手遅れかも知れんが、一応謝るだけ謝って――、
 って、おい、嘘だろ?
 今ハルヒは何て……、

「もう、なにボーっとしてんのよ!」

 おかしい、思考がループして――、

「――あたしにだって、キョンに言いたいことあるんだから」

 目の前にハルヒが、逃げられない……、

「それをなによ! あたしの気持ちなんかお構いなしに、自分勝手に理屈グダグダこねちゃって……」

 ハルヒが俺のネクタイを掴んだまま――、

「だから、ちゃんと聞きなさいよ! いい?」

 ハルヒの顔が俺の目の前に……、またぶつかる! 痛てーな。

「あたしだって――キョンのこと――ずっと、ずっと好きだったんだから!」

 駄目だ、やっぱりハルヒは眩し過ぎて、

 って、思考がループしてるわけじゃないのか? だとしたら……、
「すまん、ハルヒ。意味がよく解らん。それか俺の耳がどうにかなっちまったのかも知れない。もう一度言ってくれないか?」
「バカ! こんな恥ずかしいこと二度も言わせないでよ」
 ハルヒは俺の胸元に顔を埋めたまま怒鳴りつけてくる。ほら、やっぱりお前怒って――、
「あたしはキョンのことが大好きなのっ!」
 って、それが信じられんのだが。どうしてお前が俺のことを? そんなのありえないだろ?
「あたしだって、キョンがまさかあたしのことを好きだったなんて信じられないんだもん。お互い様じゃないの」
 密着状態で顔をグリグリと押し付けてくるハルヒ。いつの間にか俺の背中に回された腕がギュッと締め付けてくる。
「なあハルヒ。ひょっとしてお前、俺のことが好きなのか?」
「もう、さっきからそう言ってるでしょ? このバカキョン!」
「で、俺はお前のことが好きなんだよな?」
「何であたしに訊くのよ? そ、そりゃまあ、キョンがそうだって言うんなら、あたしも、その、う、嬉しいけど……」
 うーん、てことは俺たちは相思相愛、いわゆる両想いってことになっちまうのか。

 な、なんだってー!!(AA略

 我に返ると同時に、全身の血液が瞬間的に沸騰したような感覚に囚われる。
 当たり前だ。俺にとっては太陽も同然の存在のハルヒが何の拍子か解らんがさっきから俺に抱きついているのだ。
 神々の怒りを買って羽を留めた蝋を溶かされてしまったイカロスの末路というわけでもないが、俺の身体も炎に包まれて燃え尽きてしまうに違いない。
 でも、だったら何故――俺はこうしてハルヒの背中に腕を回してしっかりと抱きしめ返しているんだ?
「キョン……あんたってバカよ」
 そうか、俺はバカだからこんなことをしちまってるんだな。
「もっと早くキョンの気持ちを知っていたら、あたしだって――ううん、違うわ。バカなのはあたしも同じなのかもね」
 だったら、ここはお互い様ってことで俺のことは許してもらえないか?
「違うの。昨日のことだって、謝らなくちゃいけないのはあたしの方なのに」
 ええっ?
「キョンはあたしのこと助けようとしてくれただけなんでしょ? なのにあたしったら、変なこと意識しちゃって」
「いや、俺も思い切りそういうことを意識しちまってたぞ」
「んもう……バカ」
 ハルヒの腕に込められた力が増し、つい俺も同調してしまう。
「ねえキョン。お願い――これからもずっと、あたしと一緒にいてくれる?」
 それはむしろこっちがお願いすることのような気もする。だが、何故そんなことをしちまったのか理由は説明不可能なんだが、俺は返事をする代わりにハルヒの顔を起こさせると、
「――!」
 お互いの唇の距離をゼロにしてやったのだ。


 長い長いキス……。
 あたしは全身の力が抜けちゃって立っていられないぐらいだったんだけど、キョンがあたしの身体をぎゅっと抱きしめていてくれたおかげで倒れずに済んだみたい。
 はあ~。全身が溶けちゃいそう。骨抜きにされるって言葉があるけど、まさか自分がこんなにメロメロになっちゃうなんて正直思ってもみなかったわ。
 キスを終えた後も、あたしたちはずっとお互いのことを見詰め合っていたの。キョンの視線が妙に熱くて、凄く恥ずかしいんだけどでもそれが逆に心地良くって――あたしもずっとキョンの瞳から目を逸らせずにいたのよね。
「――で、いつまでそうやってニヤニヤしてるつもりなんだ、古泉?」
 ふとあたしの後ろに目を遣ったキョンは無愛想につぶやいたの。
 ハッとしてあたしも振り向いたら、
「ちょ、ちょっとやだ、みくるちゃんに有希まで! ずっと見てたの?」
「ふ、ふえっ、そ、そのぉ――」
「……一部始終」
「というわけですが、僕たちもそろそろお腹一杯になってしまいましたので、退散することにいたしますよ」
 と古泉くんは華麗にウインク。
 両手で顔を覆ってるけど指の間からしっかりあたしたちのことを見て半分固まってるみくるちゃんを、何事もなかったかのように引き連れていく有希。
 あたしもキョンも、ただ呆然として見送るしかなかったわ。
「ねえキョン」
「な、何だハルヒ?」
「この後あたしに付き合いなさい」
「こ、こちらこそ……よろしく頼む」
「へっ? バ、バカ! そういう意味じゃな――ってやっぱり違うってわけでもないのかしら。まあとにかく、あたしに付いてきてちょうだい! いいわね?」
「ん? あ、ああ」


「で、なんで俺とお前はこんなとこでうどんを食ってるんだ?」
 ハルヒと俺は二人して立ち食いカウンターに並んでうどんを啜りこんでいたのだった。さっきまでの甘い雰囲気は一体なんだったのやら?
「いいじゃない、何だか今日は色々あったからお腹が空いちゃったんだもん。それに、あんた今日はお昼食べてなかったでしょ? 今回は珍しくあたしが奢ってあげるからちょっとは感謝しなさい!」
 自分で珍しく、なんて言っちまうとはね。それ以前にハルヒから何かを奢ってもらうなんて日が来るとは正直考えたこともなかったぜ。
「それに今日は『うどんの日』なんだからね。ねえキョン、あんたは知ってた?」
 ほう、それは初耳だな。
「うん、あたしもさっき偶然ネットサーフィンしてて見付けたの。毎年半夏生の頃に農繁期が一段落するってことで農家の人たちが労をねぎらってうどんを振舞ったのが始まりらしいんだけどね」
 そうか、暦の上では今年は昨日が半夏生だったんだが、まあ大体はこの時期ってことには違いない。
「でもなんでまた奢りだなんて言い出したりしたんだ?」
「言ったでしょ? 『労をねぎらう』って。団長としてもそれなりに雑用係には感謝してんのよ。人の好意は素直に受け取りなさい」
 素直に、ね。お前が言うなと口に出掛かるも、自分自身も素直でない自覚はあるので黙っておいた。
 それに、一度はもう、お互いに素直になっちまったことなんだしな。
「ん? どしたのよ、マヌケ面しちゃって」
「いや、俺は三国一の幸せ者だなって実感してたのさ」
「……バカ! ――でも、あたしもそんなキョンのこと――大好きよ」
 頬を染めたハルヒを眺めながら、俺はうどんに載った油揚げが妙に甘ったるいのはおっちゃんがタレの砂糖の量を間違えたというわけじゃないのかも知れないとか取るに足らないことを脳内に巡らせ続けていたのだった。


キャラ崩壊w誰だよこいつらwww
いや、どう考えてもハルキョン告白モノを「うどんの日」のオチに繋げるには無理があるだろwww
実際途中でしばらく一文も進まない日が何日かあって、それ以降無理矢理強引に書き殴ったのでかなり話に齟齬が出てしまったと思います。捧げモノにこれはないでしょ? orz

作中の苦悩するキョンにはかなり自分も悩んだというか書いていて我が事のように苦しかったです。
しかし読み返してみて、これ自分で書いたのか? ってぐらい意外なものにはなったと思います。
それがいいことか悪いことか判断つきませんがwww

ああ、それにしても旨いうどん食いたい。次に讃岐の国へ詣でるのはいつになることやら?



7 Comments to “今日は何の日?”


  1. 蔵人 — 2008/07/19 @ 04:22

    うわ激甘い(笑)あの展開でうどんとは誰も思わないでしょうねえ。
    ちなみに蕎麦好きです(関係ない

  2. 猪 — 2008/07/19 @ 11:37

    うどんwwwだから詰め込むなと言うのにwww
    いや、まあ、個人的には好きです。こういうノリ、ってかオチw
    古泉とキョンの会話は鉄板だなぁと思いつつ策士っぷりに感心したり。(スキは逃さねえぜ!)
    ついに7月分。追いついてきましたね。

  3. 911 — 2008/07/19 @ 14:52

    いやもう本当にありがとうございます!!
    甘えええと思ったらまさかのうどんの日オチwww
    半夏生について調べたときに気付いてはいたのですが、まさかここに持ってくるとは予想外でした。
    自分が書いた取るに足らない「お前らいいから自覚して素直になれよコノヤロー」的な話から一転、いい具合に距離感を壊してくださって感謝です。
    キョンとハルヒの心情変化を追いながらの甘甘展開を堪能させて頂きました。
    #確かにいつものAkitoさんと雰囲気が違いますが、これはこれですごく……いいです……。
     でもうどんの日に落とすところはやっぱりAkitoさんって気もしますがw

  4. 凛色 — 2008/07/19 @ 21:51

    初めましてです。
    911さんのブログで名前は拝見していたのですが
    ブログを覗かせて頂いたのは今日が初めてです。
    なんかすみません。

    さて、「半夏雨」の続きと言うことで
    読ませて頂いたんですが・・・・

    甘っ!!
    今まで飲んでいた苺ミルクが甘く感じなくなる程に
    甘い、甘すぎる!!

    しかもうどんオチww
    なんかハルヒとキョンっぽい感じでした。

    私は蕎麦好きですが。

  5. Gimma_Akito — 2008/07/19 @ 22:39

    コメントありがとうございますをまとめて返信~ノシ

    >蔵人様
    >>激甘い
    あれはおっちゃんが油揚げのタレを、ってそっちじゃなかった?サーセンwww
    イマイチ自分では書いた作品の糖分を客観的に判断できないんですが、そう言っていただけると何かホッとします。

    >>蕎麦
    しばらく蕎麦は食べてませんでしたね~。
    てゆーか自分が食ってるのは専らコンビニのものばっかりなんですけどwww

    まあ自分は今23区在住なんですが、こっちでは滅多にうどん食べないですね。ガッカリするのが嫌なので。
    少なくともネギは万能ネギじゃないとダメなんです。って脱線してすみませんw

    >猪様
    >>詰め込むな
    だってだってそれが秋人クオリティなんだもんw<開き直るなよバカww
    今にして思えば当日に「うどん」部分だけスレに投下するって手もあったかも<ぉぃ

    >>オチ
    すみません、こういうのばっかりで飽きられてないか不安にもなるんです。
    気に入っていただけているということならこれからもこのノリで突っ走ります<待てw

    >>古泉
    よくよく考えたらいままで自分は古泉分が薄いんじゃないかって思ってたので、そういう意味でもちょっと彼には一肌脱いでもらいましたアッー!

    >911様
    >>予想外
    結果的にこうなってしまったというか、いつの間にか自分ワールド全開でした。
    って、そもそもこれ続編だってことを忘れてたような気がしないでもないwww

    >>距離感を壊して
    壊しちゃったのは911様の元作品のいい感じなんじゃないかって書いてる最中はそればっかりが気になってました。
    んなこといってたらリレーSSなんて出来ねーよとか必死に自分を奮い立たせてたっていうw

    しかし自分でもここまで雰囲気変わると戸惑いますよ、本当に。
    確かに狙った部分がないかというとそうでもないのですが、それにしてもこれはwww

    いやはや、とにかくお気に召されたようでこちらとしては胸を撫で下ろすばかりです。
    よろしければ今度は逆のパターンなんてどうでしょう? <って厚かましいわボケw

    >凛色様
    初めましてです。今後ともよろしくお願いいたします~ノシ

    >>苺ミルク
    甘いですかね、そんなに?w
    繰り返しになっちゃいますが、自分ではそういう自覚がないのでそういっていただけると励みになります。

    >>ハルヒとキョンっぽい
    かなりキャラの崩壊度が激しいと思っていたんですよ、自分でも。
    オチの部分でそう思っていただけたというのは着地に旨く成功したのかなと一安心です。

    すみません、何かテンションが自分でも変杉!!gdgdでサーセンwww

  6. R254 — 2008/07/20 @ 00:04

    先にコメントを読んで「うどん?」と思ったら!
    見事にうどんでしたねw
    最近どうも余裕がないせいか長文を見ると一度回れ右をして気合入れてから読みに来るのですが、気合入れすぎて甘さが全身に回る速さが物凄く早かったですw
    雰囲気ちょっと違うのもいいと思います!
    因みに私はうどん派でもそば派でもどっちでもないんですが、某ターミナル駅の立ち食い蕎麦屋でばっかり夕飯食べてるせいかw麺はもうそろそろいいですorz
    #100コメ目だったんですね、ワーイ!何気にキリ番ゲッターな私ですw

  7. Gimma_Akito — 2008/07/20 @ 17:36

    拍手コメントも合わせてまとめて返信です。

    >ながとん様
    どうもありがとうございます。ってここで返信して見ていただけてるのか?ww

    うどんでポッキーゲームってことですか?
    さすがにそこまでやっちゃうのもどーなんでしょうwwww

    >R254様

    >>うどん?
    うどんで申し訳ありませんでしたw

    >>気合入れすぎ
    ちょwwそれは危険なんでしょうか?

     俺の目の前で真っ赤な顔をしたままハルヒは倒れてしまった。
    「お、おい、ハルヒ! しっかりしろ!」
    「……糖分過多によるショック症状。大至急水分補給が必要」
     長門はそう言って俺にペットボトルのミネラルウォーターを手渡してきた。
     しかし、ハルヒは気を失ったままだ。このままでは飲ませることも出来やしない。
    「ええい、仕方が無い! すまん、ハルヒ!」
     俺はミネラルウォーターを一口含むと、横になっているハルヒの口元に……、
    (省略されました。続きをお読みになるためには「わっふる、わっふる」と拍手コメントに書き込んでください)

    サーセンw
    雰囲気が違うよりは暑さで脳が茹ってるに百万ハルキョン!

    >>立ち食い蕎麦屋でばっかり
    わー!!涼宮さんだめですよぉ!!<ってなんじゃこりゃw

    ただでさえお忙しいところ面倒なのは重々承知ですが
    せめて食生活だけでも豊かに送っていただきたいものです。
    確かお昼のメニューも、ってぼやいてらしたでしょ?www

    自分の経験的なもんですが、動物性タンパク質が不足すると
    精神的にもやばくなりますね。
    てなわけで焼肉なんてどうでしょう?
    なんだったら今度ご一緒にくぁwせdrftgyふじこ

    >>100コメ目
    てなわけで記念に何かください<ってお前が貰うんかいw
    嘘です。また機会を見て何か書くか描きます。



Write a comment


Name




    
optionally requested zinc is based on WordPress platform, RSS tech , RSS comments design by Gx3.