(´・ω・`)ノシ

何を思ってか解りませんが唐突に真冬にこんな真夏のお話を投下w
勝手にフェチシリーズ第四弾です。


 ある夏の日の放課後。

「ねえ、キョン。あんた、消える魔球って投げられる?」
 いきなりだな、おい。
 まあ、いつも通りといえばいつも通りのハルヒのパターンである。しかし、そんな漫画にしか出てこないようなもの、どうやっても投げられんだろ。しかし、そういえば古泉が持ってきた野球盤ゲームには、消える魔球って仕掛けはあったみたいだが。
「なによ、キョン。あんた、前の野球大会のときに妙な変化球ばっかり投げてたじゃないの」
 ああ、あれは全部が長門の呪文によるインチキで――なんてことをハルヒに言えるわけもない。
「そうだわ。確か、消える魔球を投げるためには特訓が必要なのよ、特訓が! 決めたわ、キョン。今から猛特訓よ。さあ、グズグズしないで行きましょう」
 というわけで、俺たちSOS団の全員は、このクソ暑い真夏の炎天下に、なし崩し的に中庭に集合させられた次第である。
 なお、特訓の内容だが、鉄下駄でランニングさせられたり、丸太を担いで山登りさせられたり、ジープで追い回されたり、なんてことはなく、ただ単にキャッチボールをさせられるだけだったことに俺は安堵していた。
 しかし、大丈夫なんだろうか。暴投して窓ガラスを割ってしまったりしたらシャレにならんぞ。
「心配はない。情報操作により、周辺の全ての窓ガラス表面に斥力フィールドを展開済み」
 さすがは長門と言うべきか。ありがとうな。んで、もう一つついでに頼みがあるんだが。
「なに?」
 今回はボール自体に妙な小細工は無しにしてくれないか。
「……了解した」
「古泉くんはキャッチャーね。――ほら、キョン。なにしてんの。さっさと魔球をバーンと投げてみなさいよ!」
 へいへい、まあ、どうせ無理なんだがな。
「キョンく~ん、頑張ってくださ~い」
「どうぞ、僕の方はいつでも準備オーケーですよ」
 このためだけにわざわざチアガール姿にチェンジさせられた朝比奈さんの黄色い声援と、古泉のニヤケ顔に促されて、俺は第一球を投げた。
 山なりのボール球が、まるで『ヘロヘロ』とでも効果音を発しているかのように、古泉のミットに収まる。一応はワンバウンドにならずに届いたらしい。
「こら~! ちょっと、キョン。あんた、やる気があんの? ……あっ、古泉くん、あたしにボールよこしてちょうだい」
「えっ? ――あ、済みません」
 既に返球モーションに入っていた古泉の投げたボールは、手元が狂ったのであろうか、ジャンプしなければ届きそうにない高さでこちらに向かっている。
 と、その瞬間、ハルヒが俺の頭を押さえつけるように伸び上がって、その球をキャッチした。

 思い切り身体を伸ばしたためか、制服のお腹のところからハルヒの肌色部分が晒されたのと、急激に押さえつけられたために俺の首から嫌な音が鳴り響いたのは同時だった。
「痛ってえ!」
「ちょ、ちょっと、キョン。あんた、大丈夫?」
 心配掛けてすまないが、かなり大丈夫じゃ無さそうだ。
 俺の返答にハルヒの表情が一瞬で曇る。
「みんな~ごめ~ん。あたし、ちょっとキョンを保健室まで連れて行ってくるから。あとはお願いね」
 ハルヒはそう宣言すると、俺の手を引いて一目散に校舎内に向かった。
 ふと気が付けば、先程までの陽射しは、急に上空に現れた真っ黒な雲によって覆い隠されてしまっていた。

 保健室には誰もいなかった。例によってハルヒは、勝手にそこらじゅうを物色した挙句に湿布を発見したらしく、俺の首筋にペタリと貼り付けた。
「もう、キョンってば、だらしがないんだから。あの程度で首を痛めちゃうなんて、普段から鍛えてない証拠よ」
 確かにな。妙な特訓ならともかく、キャッチボールで一球投げただけで怪我する、なんてのはあまりにも情けない気がするぞ。
 俺が嘆息したその瞬間、閃光と共に物凄い轟音が轟いた。カミナリか。結構近くに落ちたみたいだな。
「きゃっ!」
 ハルヒは柄にもなく小さな悲鳴を上げたかと思うと、肩を竦めて自分の両肘を抱くようにしていた。と、そこに続けざまに鳴り響く雷鳴。
「……や、やだ!」
 なあ、ハルヒ。お前、ひょっとしてカミナリが苦手なのか?
「え、ええ、そうよ。なにか文句でもあ――きゃ~っ!」
 ハルヒの開き直りを掻き消すように襲い来る雷鳴。気のせいかこいつ、涙目になっているようにも見えるな。
 ふと俺は、先程のハルヒがジャンプしたときに見せたヘソのことが脳裏に浮かんだ。と言っても別にいやらしいこととか、そんなんじゃないからな。
 まあ確かに、ハルヒのおヘソ辺りはちょっとばかりセクシーだったな、っていかんいかん。何を考えてるんだ、俺。
「やれやれ。――――ハルヒ、ちょっとこっちに来い」
「な、なによ、キョン?」
 怯えた様子のハルヒを俺は膝の上に座らせると、ハルヒのお腹部分を包み隠すように自分の腕を配置した。案の定、と言ったものだろうか、ハルヒの身体は小刻みに震えていた。
「ちょ、ちょっと、何の真似よ、これは?」
 いや、前に妹が『カミナリさんにおヘソ取られちゃう』って怖がってたときに、こうしてやったら落ち着いた、ってのを思い出したんで、そのときと同じようにしてみただけなんだが。
「もう、キョンったら、あんまりあたしを子供扱いしな――ひっ!」
 またしても至近距離に落雷。今日の雷様はとことんハルヒをいじめたいらしいな。
 暫くの雷鳴のラッシュの後、やがて外から聞こえてくるのは、激しい土砂降りの雨音ばかりとなってしまった。
 なあ、ハルヒ。もうそろそろ、落ち着いたんじゃないか?
「ん――も、もうちょっとだけ、待ってよ」
 何故だかすっかり甘えん坊モードになってしまったハルヒである。
「ねえ、キョン。あたし、みっともないところ、見せちゃったわね。……普段はあんたに『もっとしっかりしなさい』とか偉そうなこと言ってばかりなのに、これじゃ、説得力ゼロじゃないの」
 しょんぼりした口調のハルヒに、つい俺は普段なら言わなそうなことを呟いてしまう。
「でも、俺は見直したぞ。結構可愛いところあるじゃないかって」
「な、キョ、キョン?」
 頭に血が上るのが自分でも解る。
「す、すまん。妄言だ。今すぐに忘れてくれ」
「バカ…………」
 ふと見ると、ハルヒの耳も真っ赤に染まっていた。今、正面からこいつの顔を見たら、果たしてどんな風になっているんだろうかね。

 結局、俺たちは夕立が止むまでずっとそのままの格好でいたのだった。

「さあ、キョン。部室に戻りましょ。みんなが待ってるわ」
 先程の大雨が嘘みたいに晴れ上がった空の下、いつもの明るさを取り戻したハルヒと共に、俺は渡り廊下を歩いていた。
 さっきみたいに大人しいのもたまにはいいかもしれないが、やっぱりハルヒには太陽のような眩しい笑顔がお似合いだな、なんてことを俺は思わずにはいられないのであった。


スレでもありましたが、ハルヒは雷が苦手って印象を持っている方もいらっしゃるようで
何か自分と同じだなと、ニヤニヤしてしまいました。キモスw




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